ラブラドールの誓い

ラブラドールの誓い (ランダムハウス講談社文庫)

ラブラドールの誓い (ランダムハウス講談社文庫)

出だしから、これはどういう本なんだろう?と興味をひかれ、徐々に犬の世界の(特にラブラドールの)伝統の崩壊と、人間社会の倫理の崩壊をうまく重ね合わせて描かれる現代社会への痛烈な批判とも取れる小説でした。とはいえ、普通に紹介するならばこれは犬の本です。一匹のラブラドールが、ラブラドールの使命に忠実に従いながらも、時に迷い、時に過ちを犯しながらも必死に飼い主の家族を守ろうとしていくお話です。最後にどうなるのかは読んでのお楽しみですが、きっと泣いてしまうでしょう。犬をテーマにした泣かせる本はいっぱいありますが、この本は一味も二味も違います。いろんなことを考えさせるすばらしい本です。犬好きなら、犬を飼っている人ならきっと楽しめると思います。あっ、でもかなり悲しいですが……。